オンライン授業でもアイスブレイキングにつかえるゲームの紹介


■このページについて
 新型コロナウィルスの流行に伴い、2019年度前期三重大学では、すべてオンライン授業となります。オンライン授業は間にパソコンとパソコンが入り、実際に対面することはありません。この方法はとくに、学生同士が仲良くなったり、打ち解けたりするのが難しくなること、あるいはそうした経験によって自身の新たな気付きに到達しにくくなるなどの問題が起きやすいことが考えられます。

 実は私の研究テーマの1つに教育の場でのゲーミングの可能性を探るというものがあります。教員がしゃべくるだけでは受身的で頭が回っていない生徒が出てきてしまうところを、ゲームという場をつかって、生徒自身をアクターとして能動的に動き始めさせようとするものです。しかし、このオンライン授業という方法はゲーミングに関して、たくさんの長所を奪っていきます。やりとりはパソコンを介さないとできません。表情も出しにくくなります。なによりなかなか仲良くなれません。

 こうしたときに、教員一般が考えることは、「初対面の距離感」を打ち壊すことにあります。アイスブレイキングと呼ばれます。これをパソコンの向こうにいる人との間でもできないだろうかということを考えてみました。ゲーミングはアイスブレイキングにとても向いている方法なのですが、今回は間にパソコンがあり、いろいろなカードの交換1つもできません。

 そこで、今回は、市販のゲームのなかで、オンラインでも実施可能な、アイスブレイキングにつかえそうなゲームを紹介してみようと思います。原則市販されているものなので、Amazonなどで誰でも入手可能です。なお、ここでの「オンライン」は、Zoomのブレイクアウトルームを前提としています。ほかのウェブ会議サービスで同様の機能がありましたら教えて下さい。

■ボブジテン
【ゲーム紹介】ボブジテン|カタカナ言葉を日本語だけで説明するパーティーゲーム!
『ボブジテン』のルール紹介:カタカナ禁止が絶妙に難しくて盛り上がる!!

 このゲームは、リンク先にもあるように、『カタカナ語を日本語だけで説明する』というカードゲームです。日本語が好きなボブに、外来語を日本語だけで説明しようというコンセプトで、いろいろな言葉を日本語のみで説明し、わかってもらうというゲームです。たとえば、「インターネット」という用語を説明しようとすると、つい、「ネット」や「パソコン」などの言葉を入れてしまい、日本語だけで説明するのはなかなか難しいことに気づくはずです。

 このゲームをオンラインでしようとしてもそれぞれがゲームをもっているわけはありませんから、ブレイクアウトルームをつかって、小グループに分かれた後、お題をこちらが用意して実施するという方法を取ります。各グループの1人だけがこのお題を見て、ほかのメンバーに日本語で説明するというやり方なら可能です。こんなふうにお題を教員が提示するという形式でカードの交換なしで、ゲームを進めていけます。説明につまったり、ぴたりあてることができたときの喜びを共有することで、アイスブレイキングとなります。

 なお、このゲームは、基本用語のみを追加していくとどんどん新しく遊べますので、ボブジテンのほかに、派生版も5つ出ています。まぜて使うこともできます。
最近、ボブジテンの逆バージョン、日本語を英単語だけで伝えるゲーム「チョンマゲ・オン・ザ・ヘッド」というものも出てます
プレイ人数:3-8人程度(参考)
プレイ時間:30分程度(参考)


■はぁって言うゲーム
【ゲーム紹介】はぁって言うゲーム:8種類の「はぁ」を使い分けるコミュニケーションゲーム!
はぁって言うゲーム

 このゲームは、たとえば「はぁ」という同じ一言を異なるシチュエーションで演じ分けてより多くの他のプレイヤーに当ててもらうパーティー&クイズのボードゲームです。演じ分けをする側とそれを読み取ろうとする側を経験することで、伝えることの難しさや間違って伝わってしまうことなどに気づくはずです。感情を表現することでお互いの抵抗感を減らせるかもしれません。

 このゲームもお題系のゲームです。ぴたりあてることができたり、うまく表現することができたときの喜びを共有することで、アイスブレイキングとなります。

 なお、このゲームも、派生版が1つ出ています。さらに踏み込んだシチュエーション設定が入っています。まぜて使うこともできます。※今ならお近くのドンキで2割引!
プレイ人数:3-8人程度(参考)
プレイ時間:15分程度(参考)


■ジャストワン
【ゲーム紹介】ジャスト・ワン (Just One)|同じヒント禁止!お題の正解数を競う協力ワードゲーム!!
『ジャストワン(Just One)』連想系ボードゲームのルール&レビュー

 このゲームは、回答者とヒントを出す側に別れて「ヒミツ」の言葉を正解することを目指す協力ワードゲームです。ただし、ありがちなヒントを考えて、被るとヒントとして使えませんので、少し遠回しなヒントを考え出す必要があります。協力ゲームというところがポイントで、グループ全員がいっしょに喜べるところがミソです。

 このゲームも(実際はほかにも色々使いますが)お題系のゲームです。うまいヒントを出せたり、ぴたりあてることができたときの喜びを共有することで、アイスブレイキングとなります。
プレイ人数:3-7人程度(参考)
プレイ時間:20分程度(参考)


■キャット&チョコレート非日常編
『キャット&チョコレート 非日常編』待望の続編が登場!
キャット&チョコレート非日常編

 このゲームは、「マフィアに潜入操作中。正体がバレそう。」「テレビからこわい幽霊が出てきた」など現実離れした出来事を「ラブソング」「ドローン」など限られた(一見役に立たない))アイテムでどのように切り抜けるかを考えるゲームです。

 一定の無茶振り場面をどういうアイディアで乗り越えるかということで大喜利系とも言われるジャンルのパーティゲームです。非日常なので、無茶苦茶なアイテムの使い方もアリという創造性を引き出すタイプの楽しさがあります。

 ただ、このゲームはお題もアイテムも公開するので、カードを全員に見せてかまわないゲームなのですが、教員がカードをめくって進行させる必要があるため、複数のグループに同時進行で進めていかないといけません。このゲームも、派生版が6つ出ています。
プレイ人数:3-6人(参考)
プレイ時間:20分程度(参考)


■ホッタイモイジンナ
『ホッタイモイジンナ』
ホッタイモイジンナ

 このゲームは、カードに書かれた日本語以外の言葉を、Google翻訳などで発音を聞いて、なんと聞こえたかを日本語で書きだし、一致したらポイントゲットというゲームです。

 オンラインのサービスを利用するという、オンライン授業にぴったりなゲームです。日本語でどう聞こえているかを表現するので、自由に思ったことを書き出すという自分の壁をとっぱらえる点で向いているゲームです。

プレイ人数:3-6人(参考)
プレイ時間:15分程度(参考)
ボドゲーマで注文

■追記
上記のゲームのいくつかは研究費で購入しています(ほとんどは私費ですが)。実際にゲーミングの研究をしているからということでもありますが、教育学部ですので、なにか問われても「教材の研究」で通ると思います。もっとも財務の検収の際になにか言われたことはありません。

連絡先:南 学(三重大学教育学部) minamiあっとまーく(あっとまーくを@edu.mie-u.ac.jpにかえてください)